セブン&アイ・ホールディングス株式会社(3382.T)は、10月10日、スーパー事業を中心とする非コンビニ事業を統括する中間持株会社「ヨークホールディングス」を設立する方針を発表した。主に子会社であるイトーヨーカ堂を含む事業を対象に、戦略的パートナーの招致を検討し、将来的な株式公開(IPO)に向けた準備を進める考えだ。
「ヨークホールディングス」は、イトーヨーカ堂、ヨークベニマル、レストランチェーン「セブン&アイ・フードシステムズ」、および雑貨店「ロフト」などの非コンビニ事業を傘下に置く予定であり、2025年2月末を目途に発効される見通しだ。この中間持株会社の設立により、各事業の成長戦略を強化し、管理体制を再編することで、企業としての競争力を高めることを目指す。
また、2025年度末までに、ヨークホールディングスは持分法適用会社への移行を完了させる計画だ。2023年度のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は606億円だったが、2025年度には約1,000億円まで増加させることを目標としている。
セブン&アイは、非コンビニ事業の再編とともに、今後はコンビニエンスストア事業に経営資源を集中させる方針を明確にしている。この一環として、同社は社名を「7-Eleven Corporation(仮称)」に変更する予定であり、成長投資の再配分と株主へのリターン強化を目指す。これにより、コンビニエンスストア事業における競争力を一層強化し、収益基盤の拡大を図る。
また、同行する金融部門である「セブン銀行」に関しても、最適な資本関係を模索する方針が示されている。これにより、コンビニエンスストア事業との連携強化や、より効率的な運営が期待されている。
海外市場におけるコンビニエンスストア事業では、ROIC(投下資本利益率)の向上に取り組む方針だ。具体的には、不採算店舗の閉鎖、商品コストの削減、バリューチェーンの効率化を図ることで、収益性の改善を目指す。
セブン&アイのこの戦略は、2024年7月にカナダの小売業大手アリメンテーション・クシュタール(ATD.TO)から提案された買収計画の影響を受けたものだとみられる。同社は、1株あたり14.86ドルでセブン&アイを買収する提案を行い、総額は約6兆円に上った。しかし、セブン&アイ側はこの提案を「企業価値を著しく過小評価している」として拒否。その後、クシュタールは提案価格を約7兆円に引き上げたとされている。
買収提案価格が現在の株価を上回る状況で、セブン&アイは自社の価値を高めるための戦略を打ち出す必要に迫られた。今回の中間持株会社設立とスーパー事業の再編は、その一環として位置づけられている可能性がある。
ヨークホールディングスの設立は、将来的な株式公開(IPO)を視野に入れて進められており、戦略的パートナーを招致することで企業価値の向上を目指す。同時に、スーパー事業における競争力強化を図るとともに、成長機会を最大限に活用するための準備が進められている。
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セブン&アイは、過去数年間でコンビニエンスストア事業に力を入れ、国内外での事業拡大を図ってきたが、今回の動きはそれに続く大規模な企業再編といえる。特に、国内外の競争が激化する中で、企業としての競争力を維持・強化するための重要な戦略であることが示唆されている。
セブン&アイは、スーパー事業を中心にした再編を進める一方で、コンビニ事業への集中と株主価値の向上を目指す。今後、ヨークホールディングスの設立が完了し、持分法適用会社としての運営が本格化することで、どのように事業が展開されるかが注目されている。