中国の石油化学大手、中国石油化工集団(Sinopec)は、中国北西部の内モンゴル地域で再生可能エネルギー事業から水素を転送するパイプラインを建設する計画を発表した。同パイプラインは400kmに及び、人口希薄な内モンゴルのウランチャブから首都の北京まで伸び、当初の生産能力は年間10万トンとなる予定だ。中国国営メディア、新華社は、同社の馬永生会長の発言を引用した報道でこれを伝えた。また、パイプライン沿いには新たな水素源へのアクセスを許すためのポートが建設される予定であることも報じている。

既に、中国は化石燃料源から生産された「グレー・ハイドロゲン」と呼ばれる水素のパイプラインを運用しているが、今回の計画は国内初の西から東への「グリーン・ハイドロゲン」転送ラインとなる。グリーン・ハイドロゲンは、再生可能エネルギーで作られた電気を用いて水分子を分解し生成される水素であり、炭素排出を抑えるための代替エネルギーとして注目を集めている。

Sinopecは中国最大の水素生産企業であり、今年、内モンゴル自治区オルドス市に年間生産能力3万トンのグリーン・ハイドロゲン工場を建設することを発表していた。また、同社は2021年には新疆ウイグル自治区の庫車市でグリーン・ハイドロゲンプロジェクトを開始している。

中国政府は、再生可能エネルギーへの転換を進める大規模なキャンペーンを展開しており、昨年はグリーン・ハイドロゲンの生産量を年間10万トンから20万トンに、同時に水素燃料車の保有数を5万台に引き上げることを目標に掲げていた。

こうした中、Sinopecがグリーン・ハイドロゲンの転送パイプライン計画を進めることは、中国が再生可能エネルギーの普及に積極的に取り組んでいることを示すとともに、水素エネルギーが今後ますます注目されることを示唆するものとなっている。

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By RRR

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